Top  >  STAFF BLOG  >   【便利帖】過去の地震被害から耐震レベルを考える。

【便利帖】過去の地震被害から耐震レベルを考える。

木造住宅の耐震計画。法律に従えば大丈夫なのかどうか?そんな疑問にお応えするために、過去の地震被害から、あるべき耐震強度を判断したいと思います。

 

建築基準法レベルの耐震強度

建築基準法は基本的に、最適ではなく最低レベルの性能を示すというスタンスです。耐震強度に至っては、

最大クラスの地震である、震度6強から震度7の地震であっても人命に危害を及ぼすような倒壊(ないし崩壊)はしてはいけない。

と示されています。つまり倒壊の一歩手前であれば問題は無いという解釈もできます。例えば地震後に、家が傾いているけど、中の人の命が失われる程の壊れ方ではない場合であれば、法律に則っていたから問題は無いと言えます。

 

建物に損傷を与える地震は毎年の様に発生しています。報道で分かる震度は、気象庁震度階と言い、1995年の兵庫県南部地震の後に定められました。震度0から震度7までの10段階です。

 

気象庁のウェブサイトで過去の地震規模とその被害を見れば、震度6弱以上の地震は全国でほぼ毎年発生しています。

 

震度6弱は、建物に深刻なダメージを与えます。下の絵は気象庁震度階級の解説より引用しています。

 

因みにさらに強い6強と7です。

 

建築基準法レベルの建物(つまり、耐震等級で言えば1)の場合、地震前後で建物に全く変化が無いのは震度5強までと言えるでしょう。

 

ただし、地震の周期や地盤にも影響を受け、例えば2008年7月の岩手県沿岸北部を震源とするM6.8の強い地震は、震度6強の地震だったにもかかわらず、全半壊の家屋が一切ありませんでした。

 

けれども過去の被害状況を見れば、耐震等級1では不安ですね。

 

 

更に、劣化対策と誠実な施工が必要条件です。

たとえ計画上でしっかりと耐震強度を上げたとしても、木材の劣化対策を怠れば意味がありません。壁の中の結露により長期間構造材が劣化していれば、遠い将来に耐震強度が落ちている可能性があります。

また、いい加減な手抜き工事をしているとそこが極端に弱くなり、地震時にそこから崩壊するという懸念も生じます。2016年の熊本地震の被災家屋の実態調査によれば、接合部の施工不良で耐震性が確保できていなかった事例がありました。

全てはつくり手が何を最優先に考えるかという事に尽きます。耐震設計は一般消費者からはベールに包まれている様に見えると思います。だからこそ、住まい手としては木造住宅の耐震設計の実際を知っておくことが必要であると考えます。

 

 

まとめ
長期にわたる耐震性を確保するためには、設計段階での耐震性の確保と、木材の劣化対策に配慮した建て方の両者が必要条件であると言えます。ライフピースでは基本、耐震等級Ⅲレベルを確保しています。