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【便利帖】住まいの耐久性の確保が最優先課題である理由。

日本の住宅寿命は平均約30年。これからの不透明な時代、一世代で寿命が尽きる短命の住宅を建てることは、将来様々な負担を背負うリスクが高まります。ですからお子様のためにも余りお奨めできません。今回その理由をお伝えします。

 

「耐久性を確保する」とは?

数千万円もの高額となる住宅の取得ですが、この先例えば50年で、住宅に必要な出費がどれくらいになるのかについて関心を持つ方は、とても少ない気がします。将来まとまった修繕費用が、果たしてどれくらい発生するのか?それは建てる時にほぼ決まります。建て方次第で50年間の総額、数百万円単位で上下します。

 

建材寿命に配慮した建て方かどうかが別れ道。

建物の耐久性は、すなわち全ての建材の耐久性です。例えば木材は、環境に適切に配慮すれば数百年は持ちます。木材の大敵である湿気や雨水への対策をしっかりとすれば、長期間材木を健康に維持できます。その結果、当初計画した断熱や耐震の性能が長期間確保できます。

そうではない家屋の場合では建材が劣化するため、諸性能は時間とともに低下していきます。

新建材であるビニルクロス、合板、樹脂系接着剤、合成ゴム、プラスチック製品などの石油由来の建材も同じく、時間と共に劣化します。各種新建材の寿命は千差万別で、施工の状態にも左右されます。

雨水の侵入や結露の発生に関する技術的なノウハウ次第でも、建物寿命が大きく変わります。当然、新築当初だけではなく長期間健全な状態を維持することが大切で、かつ、それを如何にコストを下げて実現するか?これが今の家づくりにおける、技術面での最優先課題です。

 

 

耐久性が劣る住宅がもたらす将来不安。
例えば30年後の耐久性が劣る住まいを、想像してみましょう。

屋根や外壁は見た目でも分かるくらいボロボロ。雨漏りが心配。こんな状態であれば、恐らく既に雨水が浸透しているでしょう。

新築当時アピールされた断熱材は、壁体内結露への配慮不足が原因で、湿気を含んでその性能がほぼゼロ。とても低い断熱性能の家に変わり果てているでしょう。

同じく、壁体内の結露に配慮されていない場合、耐震面で重要な構造材の接合部などが劣化し、耐震性能ががくんと落ちている可能性があります。

シロアリに弱い材木を土台に使っている場合、防蟻材の効果が落ちていれば、条件によってはシロアリが発生しているかもしれません。

 

手間賃も不確実。

建築費用には職人の手間賃が含まれまが、現在でも職人は人手不足。成り手も少なく将来、深刻な職人不足が十分に予測できます。

一方で、中古住宅の数は減らないため修繕工事のニーズは、常に高い状況でしょう。そうであれば、職人の手間賃が割高となっている事が十分に予想できます。家を引き継ぐ子供たちから、恨まれ兼ねません。

 

処分したくてもできない事態にも

住めないならば売却すればいいのかと言えば、そう都合よく事は進みません。

人口が減少し需要よりも供給が強いでしょうから、買い手がなかなか出てこないでしょう。耐震性や断熱性が維持されているものから、優先的に売れるでしょう。

既に、住まいの状態を客観的に把握できる「住宅履歴情報」の整備が始まっていますし、中古住宅の品質をチェックするインスペクションも普及しつつあります。

慣例から、中古住宅の査定が20-25年でほぼゼロなのが現状ですが、将来は、中古住宅の品質が売買に影響を及ぼす時代となる可能性は高いです。実際、平成26年に国交省から、中古住宅の売買時の建物評価をその品質に応じてするべきであるという指針が発表されています。

だから、処分したくてもできないということが十分に予想できるのです。

まとめ 
耐久性に配慮した家づくりが、これからの時代とても大切です。住宅を建てるにあたり、将来の資産価値に配慮していないと、今の子供たちに負担をかけてしまうことをご理解いただけますと幸いです。