2018.08.19
湖南市H邸
<物件情報>
所在地 : 滋賀県湖南市
種類 : 注文住宅
構造 : 木造在来工法 ベタ基礎
規模 : 2F建て 延床面積 130㎡(39坪)
家族構成 : 御夫婦+お子様
湖南市にある、35年ほど前に造成された団地内での建て替え計画。
元々は、施主様のお父様が建てられた住まいがあった。今は田舎に帰られた為、息子様夫婦の為の住まいとして計画がスタート。
南側の前面道路から見ると建物の建つ部分は少し高台になり、また間口方向が狭く、南北に細長い敷地であった。
既存宅は道路側に玄関があり、その隣に和室、奥に入ってLDKがある間取りだったが、普段使用しない和室が日当たりの良い環境にある一方で、LDKが薄暗く、冬場は北側の勝手口からの冷気で冷えることが悩みであった。
その為、今回の計画においては、初めにLDKを南側の間口いっぱいにとる事が優先事項としてあげられた。
その一方で来客をもてなす顔となる玄関スペース・田舎から出てきた御両親やゲストに滞在してもらえる和室スペースも同様に明るくあることが求められた。
その両方を解決するにあたって、2か所の吹き抜けを介して光を取り込めるプランとすることで方向性が決まった。
玄関土間から奥の和室を望む。
玄関と一体の土間は、ある程度の広さをとる事で玄関としての利用だけでなく、アウトドア用品を納めたり、季節ものを飾る事や子供のプール遊び等、庭代わりとしても使える空間となった。
またそこから直接アプローチ出来る小あがりとした和室は、靴を履いたままでも腰掛けることが出来る高さになったことで、来客をもてなす縁側的用途も含んでいる。
そして上部の吹き抜けと大開口のサッシからは、たくさんの光を取り込む事が出来、建物の奥であっても明るい空間となった。
右手に写っている棚は可動式の造作家具で、玄関と土間を一体で利用する際は壁側に移動することが出来、間仕切りとしての要素も持ち合わせている。
南側の間口いっぱいにリビングダイニングのスペースを確保。
キッチンは一部が対面で、家族の様子を見ながら作業が出来る一方、生活感のでる作業スペースはリビング側からは見えにくい配置としている。
上部の吹き抜けを介して明かりを取り込む。
視線の合わない位置にある窓は、常時開放しておくことも可能で、空を望むこともでき、冬場は目いっぱい光を取り入れることも可能となる。
玄関から直接アプローチできるパントリースペース。
帰宅時にコートをかけてそのまま洗面所へいったり、買い物帰りにそのままキッチンへ抜けることも出来る効率の良い動線。
階段上がってすぐはフリースペースとバルコニー。
将来的に間仕切ることで個室を増やすことも出来る。
全面屋根のかかったインナーバルコニーでは、雨にぬれることなく洗濯物を干すことが出来るだけでなく、フリースペースと一体でバーベキューなど、屋外イベントも想定。
この場所からは地元の祭りで上がる花火も望むことが出来る。
勾配天井とすることで、開放的になると同時に、2つある吹き抜けを繋げるデザインになる。
勾配天井を利用して、一部ロフト空間を確保。
当初は物置想定であったが、御主人の隠れ家スペースになる予定。
前面道路側の吹き抜けからつながる2階の子供部屋。
当初予定は腰高の壁であったが、男の子のお子様がお生まれになり、ワンパクだったという御主人の子供時代を思い出して急遽落下しない高さまで上げた。
2階北側に位置する主寝室。
大きな開口から取り込まれる間接光で明るさも確保しながら、間接照明主体で、夜は落ち着いた空間を演出。
アクセント壁の横からは、寝室から繋がる普段使いのウォークインクローゼットと季節ものをしまう納戸へのアクセスが可能。
隣りにある納戸へはホールからもアプローチ可能。
側面に取った玄関アプローチ。
高台の段差をスロープで解消し、ベビーカーや車いすもそのまま上がれるように配慮。
隣地の立派なお庭を借景に。
グレーの落ち着いた色合いの左官仕上の外壁は、築年数のたった近隣の住居に対して、過度な主張をさけて共存しながらもアイコンとしての存在感も併せ持つ。
これから永く住まうこの地でより良い生活を営まれることを願いながら、無事に引き渡しを迎えられた。
一部砂利のままの外構は、今秋植樹予定。